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国連持続可能な開発会議(「リオ+20」)の開催

 6月20日から22日まで、リオデジャネイロで国連持続可能な開発会議が開かれた。1992年6月に同地で開かれた国連環境開発会議(「地球サミット」)20年周年に当たり、「リオ+20」とも呼ばれる。約百人の首脳、各国政府、政治家、経済界、NGO、報道関係者など4万人余りが参加した。政府代表演説など政府間会議と並行して、各国政府やNGOなどによる多数のサイド・イベントが催された。20年前の地球サミットと対比しつつ、その意義を考えてみたい。
 リオ+20の「成果」
 会議の主要テーマは「グリーン経済」への移行とUNEP(国連環境計画)の専門機関への昇格など「制度的枠組み」の2点にあり、「我々が望む未来」と題する長文の成果文書(52頁、283項目)を採択して閉幕した。
 地球サミットでは経済発展と環境保全の両立した開発の重要性が認識され、「持続可能な開発」の原則が国際的に確立した。今次会議は持続可能な開発を達成する上でグリーン経済が重要な手段との認識で一致した。ただ、先進国がすべての国によるグリーン経済への移行と戦略策定の必要性を強調したが、途上国側はグリーン経済は持続可能な開発を達成する上での選択肢の一つにすぎない、戦略の策定は国ごとの判断と柔軟性によると主張して対立した。
 第2の制度的枠組みにつき、一部先進国が国連に持続可能な開発理事会の設立を提案したが日米加などが反対し、途上国が提案したハイレベル政治フォーラムの設立が合意され、既存の持続可能な開発委員会に代わって、明年9月の国連総会までにその第1回会合を開くことになった。また、EU(欧州連合)などが提案したUNEPの国連専門機関への格上げは実現せず、UNEP管理理事会のメンバーシップ拡大、資金強化、国連内での調整能力の強化を図ることとし、具体的内容は今秋の国連総会で決議される。
 今後の行動の枠組みとして、食料、水、エネルギー、海洋、気候変動、生物多様性など26分野での取組みが合意された。2000年の国連首脳会議で採択のミレニアム開発目標(MDGs)は2015年に期限を迎えるが、今度は持続可能な開発目標(SDGs)作成のための作業を立ち上げ、14年秋までの具体化を目指す。先進国と途上国が対立する資金と技術移転の問題は今後国連や関連国際機関で検討を重ねることになった。 
 地球サミットとの比較
 1992年6月3日から14日まで開催された地球サミットは多数の首脳が集まった国連史上最大の会議となり、大きな成果を上げた。当時の地球環境問題の深刻化と相まって世界の関心も強く、「環境と開発に関するリオ宣言」、その行動計画たる「アジェンダ21」および「森林原則声明」が採択された。2年近い準備過程で難航した資金、森林、漁業などの問題も、リオでの徹夜続きの折衝を経てすべて合意に達した。国連気候変動枠組条約と生物多様性条約の策定交渉が直前にまとまってリオで多数の国が署名、前者は94年、後者は93年末にそれぞれ発効した。アフリカ諸国の関心事たる砂漠化防止条約の交渉開始が合意され、94年に採択された。この準備や交渉プロセスでの議論や報道ぶりが、その後の地球環境問題への国際的取り組みや世論喚起に大きな影響を及ぼしたことは何より大きな成果だった。
 今回の成果文書は事前の準備過程では意見の対立が顕著で、3日間の短い会議では現地で詰める時間もなく、議長国ブラジルが取りまとめた各国立場の最大公約数的な合意案を議論もなく採択したもの。百人近い首脳と1万人余りの政府代表団が参加した割には低次元の内容で、ほとんどの問題を先送りした。「不合意文書」と揶揄する向きもある。地球サミットの合意で発足した持続可能な開発委員会に代わるハイレベル政治フォーラム設置の有用性は疑問。既存の委員会の活動に不満だといって衣替えしても、各国に真の問題解決に取組む意思がなければ効果はない。フランスを除くG8首脳が欠席して先進国の影が薄かった。途上国は「共通だが差異ある責任」原則に固執して、経済大国になった中国やインドを含めて責任回避に努めた。新興国にはより重い責任感を持ってもらう必要がある。政府間会議の低調さに比べて、NGOなどによる会場外のサイド・イベントは、お祭り騒ぎもあったが、評価が高かったようだ。
(2012年9月記)
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テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

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