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世界の人口問題

国連の推計では、世界の人口は昨年10月末には70億人に達した。2050年に93億人、2100年には101億人になると推定されている。地域別では、現在世界最大の42億人(世界の60%)を擁するアジアは、21世紀半ばをピーク(2052年、52億人)に、緩やかな減少に転じる(2100年、46億人)。他方、現在10億人(15%)のアフリカは人口増加率が高く、今後35年で倍増し、2100年には36億人になる。
本稿では国連など国際機関の資料をもとに、世界が直面する人口問題のいくつかの側面を取り上げたい。
人口増加と貧困の悪循環
 サハラ以南アフリカやアジア(特にインドなどの南アジア)は人口増加と貧困・飢餓の深刻な悪循環にある。世銀の2008年統計によると、国際的貧困ラインとされる一人当たり一日1.25米ドル以下(購買力平価ベース)で暮らす人々の比率はサハラ以南アフリカで47.5%、南アジア36.0%、東アジア太平洋14.3%である。一人当たり2ドル以下をとると、それぞれ69.2%、70.9%、33.2%に上昇する。
 国連ミレニアム開発目標報告(2010年版)によると、食料不足や栄養不良、水道・保健衛生サービスの欠如などによって、途上国の5歳未満児の4人に1人(南アジアではほぼ2人に1人)が体重不足状態にある。この体重不足は同じ国内でも都市部と農村部、富裕層と貧困層との間で格差があり、この格差是正が重要課題である。家庭の貧困故に就学できない児童が多く、途上国全体における最貧層世帯の女児が就学できない可能性は富裕層女児の3.5倍(男児は4倍)。逆に、出生率では貧困で学校教育に恵まれない未成年者による出生率が高く、これら女児の健康が害され、その社会的経済的地位向上の機会も失われる。無学歴の女性による避妊手段の利用率は中等教育を受けた女性の4分の1。貧困層の間のマラリア、HIV、はしかなど感染症への罹患率も高い。
 人口増加と貧困は地球環境の悪化を加速させている。耕作地を求めて移動する住民の焼畑農業によってアマゾンなど熱帯雨林の破壊が進行、地球温暖化や生物多様性の喪失をもたらしている。アジアの新興国を含む途上国人口の都市への集中は大気汚染、水質・土壌汚染、砂漠化、水不足、酸性雨などの課題を山積させている。
国際協力の重要性
 以上のような問題はあるが、国際機関、各国の支援・啓発活動などの結果、過去60年間の人口問題に多大の進展があった。国連人口基金(UNFPA)の世界人口白書(2011)によると、1950年代初期に約48歳だった平均寿命は今では約68歳に延びた。乳児死亡率は出生1000人当たり133から46に激減した。予防接種拡大キャンペーンによって世界中で幼児の疾病率が低下した。合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに産む子供の数)は1950年代の6.0から2.5へと激減した。ただ、地域別にみると、先進国は人口置き換え水準(2.1)を下回る1.7であるのに対して、最貧国は4.2、サハラ以南アフリカは4.8であり、特に最貧国ほど高止まりしている。
前記白書は、リプロダクティブ・ヘルス(人々が生殖能力をもち、子どもを産むか否か、いつ何人産むかを自由に決める権利)、子どもの健康、教育、女性のエンパワーメント(権利・能力強化)などの分野での改善が出生率低下をもたらし、貧困削減と経済成長を促したとしている。過去の成果に自己満足することなく、国際協力によって最貧国の状況の一層の改善を図る必要がある。
少子・高齢化問題
日本は人口減少・少子高齢化時代にいち早く突入したが、現在「人口ボーナス」(生産年齢人口が多くて経済成長要因となること)を享受する東アジア諸国(中国、韓国、シンガポール、タイなど)を始め、ドイツ語圏や南欧諸国、旧ソ連圏諸国なども早晩同じ問題に直面する。日本は、経済活力と成長の維持、社会保障制度存続、介護士始め外国人専門家や労働者受け入れのあり方など喫緊の課題と真剣に取り組み、少子高齢化を基盤とした活力ある社会の世界的モデルを構築する好機といえる。
(2012年10月記)
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