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中国の経済発展:その驚異と課題(中)

 今回は中国経済発展の対外経済面に注目したい。経済発展に伴って中国の対外貿易が急増した。中国は輸出額で2008年に世界第1位に、輸入額で2009年に米国に次ぐ第2位に躍進する貿易大国になった。中国の輸出額は日本のほぼ半分(2000)から約2倍(2010)に、輸入額もこの間に日本の約60%から2倍に増大した。米国、EU(欧州連合)などとの貿易黒字が拡大して深刻な経済摩擦を抱えている。ただ、かつてのバブル期の対日強硬態度と違って、中国市場の重要性に配慮して、欧米の対応は歯切れが悪い。
 鉄鋼・金属製品、電気製品、化学品、繊維製品など各種の中国製品がダンピング、補助金付き輸出などの理由で、WTOルールに基づいた反ダンピング税や相殺関税賦課の対象になっている。反ダンピング税の被発動件数は中国が世界最大で、2010年末現在563件に達する(第2の韓国は165件)。
 中国は2001年のWTO加盟に際していろいろな義務を約束したが、その履行が不十分との指摘を受けて改善する一方、WTO紛争解決に持ち込まれて敗訴したケースも多い。
増大する対外経済摩擦
 中国が直面する主な課題として次の4点を指摘したい。
 第1に、欧米諸国との貿易不均衡である。2010年に米国は2730億ドル、EUは1688億ユーロの赤字を記録した。輸出主導でなく、国内消費拡大による経済成長確保の必要性はバブル期の日本と同様である。米ドルとの固定相場制(1米ドル=8.28元)は2005年6月に廃止したが、厳しい為替管理の下、2011年5月現在1米ドル=6.5元で過去6年間に約20%の上昇に止まっている。これは世界経済の不均衡是正を妨げるとして欧米諸国のみならず、ブラジルなど他の新興国からの不満も強い。G20会議などの前に為替管理の緩和ジェスチャーを示し、最近の米中対話でも「相場の弾力性を高める」約束をしたが、具体的進展を期待したい。通貨の切上げは深刻化するインフレ対策上も望ましい。
 第2に、政府調達に当たって中国製品および中国企業への優遇措置が大きな問題になっている。中国はWTO加盟時に政府調達協定への将来の加盟、政府調達手続きの透明性確保などを約束し、2007年末に加盟交渉が始まったが、進展がない。2009年には「自主イノベーション認定制度」の下、コンピューター・同関連機器、通信機器、最新オフィス機器、新エネルギー、省エネの6分野につき、国内開発製品(知的財産権保有や商標の初期登録を行った製品)を優遇する制度を発表、ハイテク技術の流出を危惧する欧米諸国の強い反発を招いた。最近、一部見直しを発表したが、中国の政策は朝令暮改的で透明性と一貫性がないのが問題である。
 第3に、知的財産権の保護が不十分で、外国企業の損害は膨大に上る。最新のジェトロ調査では、日本の調査対象現地企業の25%が年間1億円以上の損失を被り、10億円以上の損失企業は10%余りであった。中国国内法の整備は進んでも、裁判での公平な裁きが確保されず、たとえ勝訴しても執行が担保されないことが多い。近年急増する中国企業の特許保護のためにも、法の執行強化が望まれる。ニセモノ、デザインや商標侵害、特許侵害、模倣品輸出に止まらない。技術の国産化政策を優先目標に掲げて、外国企業の対中投資に高度技術の移転を条件づけることが多いが、強く抗議すべきであろう。日本やドイツ提供の新幹線技術が模倣され、米国、ブラジルなどで日本企業が中国との競争に直面する状況にある。ハイブリッド車を含む高度技術の対中移転は近視眼的利益ではなく、長期的観点からその是非を慎重に検討してほしい。逆に、中国企業による欧米企業の買収が安全保障上の理由で拒否される例があり、中国側が問題視している。
第4に、尖閣諸島問題でクローズアップされたレアアース(希土類)の輸出 制限は日本のみならず、欧米諸国にとっても深刻な問題でWTO違反との指摘もある。類似の資源輸出制限で、中国はWTOの紛争解決に訴えられて敗訴している。自国資源を守る一方で、アフリカを含む諸外国で資源獲得を目指して、スーダンなど国際的に孤立する国への投資を優先する行動が問題視されている。
(2011年7月記)
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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