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中国の経済発展:その驚異と課題(上)

中国は2010年に日本を追い越して世界第2の経済大国になった。この20年間日本経済が停滞する中、30年前は日本の3分の1に満たなかった中国経済は、この間、年10%前後の成長を実現してきた。IMF(国際通貨基金)予測では、2015年のGDP(国内総生産)は日本6.52兆ドル、中国9.98兆ドルで、中国が日本の1.5倍超に達する。ゴールドマン・サックスは、中国は2030年までに米国を抜き、2050年には70.7兆ドル(米国38.5兆ドル、日本6.7兆ドル)になると予測する。21世紀は中国の時代ともいわれる。
後者の長期予測については、エネルギー・資源の制約、環境悪化、高齢化と生産人口減少、為替管理を含む欧米諸国との経済摩擦、中国経済の不透明性など種々の課題を抱えて不確定要素が多いが、日本の内外政策や企業活動を考える上で肝に銘ずべき趨勢である。
かつての「眠れる獅子」中国が目覚めて急速な発展を遂げ始めた背景は何か。1978年以来の改革開放政策、なかでも90年代前半に始まった小平による改革開放路線にある。2001年のWTO(世界貿易機関)加盟の結果、日米欧企業の対中投資が急増、「世界の工場」として生産と輸出入の急増を招いた。外貨準備は2010年末現在2.8兆ドルに達して2位の日本(1.1兆ドル)を大きく引き離した。これは貿易黒字や外国投資に加えて、人民元高抑制のための為替介入や投機資金の流入による。
このような経済成長を背景に、今や中国は巨大消費市場としても注目されている。同時に、幾多の内外の問題を抱えて困難な課題に直面している。これらの課題を3回に分けて概観してみたい。
国内の諸問題
中国経済の勢いは一見止まるところを知らない。しかし、実際には20年前の日本以上に多くの脆弱性を抱えるとの指摘もある。
2008年のリーマンショックで世界経済が停滞する中、中国は2009年9.2%、2010年10.3%の成長を遂げた。4兆元(約48兆円)に及ぶ財政出動と金融緩和によるインフラ、住宅建設に負うところが大きい。その反動として、不動産バブルが発生、インフレが高進して金融引き締め策に舵を切った。数次の預金準備率や金利の引き上げを実施。住宅購入時の頭金を引き上げ(50%→60%)、上海と重慶では住宅購入に対する不動産税を試験的に導入した。
中央政府の債務は少ないが、地方政府、鉄道省、中国開発銀行などが抱える債務残高が急増し、多額の不良債権の発生が危惧される。政府の債務残高が不透明で色々な数字が出回っているが、GDPの76%に及び、社会保障制度が不備な途上国にとって重荷になるとの見方もある。
党・政府幹部の汚職、経済格差の拡大、不動産価格の高騰、食料価格の上昇などで国民の不満が増大している。中央、地方の共産党幹部が利権を握り、国有地利用を巡る腐敗や土地投機が横行している。沿岸部と内陸部との間の地域格差、金持ちと貧困層との所得格差が拡大し、社会問題化している。一人当りGDPは未だ日本の約10分の1にすぎない。政府は2011年3月の全国人民代表者会議(国会)で、高成長よりは持続的成長、GDPより民生、量より質を重視する姿勢を明らかにして社会の安定に腐心している。
2010年はトヨタ、ホンダ系列など現地日本企業を狙い撃ちした労働者の賃上げストが頻発、工場の一時閉鎖を余儀なくされた。沿岸部での労働不足も深刻。かつての低賃金の魅力は薄れ、東南アジア、バングラデシュなどへ転出する外国企業が増えている。中国には労働組合はあるが、御用組合的な組織で労働者のオーナーシップは希薄。スト権や団体交渉権はない。政府はストの頻発が反政府運動に拡散するのを危惧して、対応に苦悩している。
政治体制は共産党の一党独裁で宗教・言論の自由を認めないなど人権問題も深刻。体制に不都合な発言、報道を認めず、違反者は投獄、自由を奪われる。「労働教養制度」の下、裁判抜きで4年までの強制労働を強いられる。一党独裁の見直しや言論・宗教の自由を求めて「2008憲章」を起草した人権活動家で作家・詩人の劉暁波(リュウシアポウ)氏のノーベル平和賞受賞に際して、各国政府に授賞式への欠席を働きかけるなど、なりふり構わぬ言動は世界の失笑を買った。胡錦涛主席が訪米中の記者会見(2011年1月)で、「人権の普遍性を尊重する」と述べても、その直後の報道管制で国内には報道されない。最近の中東各国での反政府運動も、インターネットの監視強化で報道されない。
IT時代の言論統制には限界がある。言論の自由を保証しつつ、如何にして国家統一の維持と経済発展を図るかが鍵となろう。社会の自由化を図りつつ、ソ連邦崩壊の二の舞をどう回避できるか、見守りたい。
環境問題はかつて本欄で取り上げたが、食の安全の問題とともに依然深刻である。CO2排出量は2007年に米国を抜いて世界一となり、2008年の世界排出量に占める中国の割合は22.3%(米国は19.0%)で不名誉なトップの座を確実にした。しかし、更なる経済発展が必要として、主要国による排出抑制合意には非協力的である。(2011年3月記)
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