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東アジア共同体と日本の役割 : 優先課題は日中韓の経済連携強化

                               
 鳩山首相は内外の様々な場で東アジア共同体構想を提唱している。その具体的定義は不明だが、昨年11月のシンガポール演説で、貿易、投資、金融、教育、環境、自然災害、感染症、海賊対策、核軍縮・不拡散、文化交流、社会保障などの協力分野を列挙した。これは小泉首相時代同様、当面「機能的協力」を重視する共同体構想といえる。
 鳩山首相は昨年9月の日中首脳会談で、「EUモデルの共同体」創設にも言及したが、欧州とは歴史的背景などが大きく異なり、東アジアの政治経済環境に見合った共同体構築を目指すべきであろう。前記分野にエネルギー、食糧安保、ITなどを加えた諸分野での協力強化と制度構築である。
 特に少子高齢化・人口減少時代を迎えた日本にとって、世界経済の成長センターとなった東アジアの活力と需要を取り込む経済統合の実現は喫緊の課題である。この地域で進展する日本企業の生産・流通・消費ネットワークの構築を制度面から助長するような経済統合に向けて強力な指導力を発揮する必要があり、その好機でもある。
 このためには、域内におけるモノ・ヒト・サービス・資本の流れを一層円滑化するための経済連携協定(EPA)の締結など、経済金融面の制度構築が急務である。同時に、域内の経済格差に留意して、政府開発援助(ODA)や民間資金活用による道路、橋梁、港湾、鉄道、電力などのインフラ整備、通関・基準認証などの貿易円滑化を促進する人材育成が重要である。
 域内の制度化で最も進んでいるASEAN共同体樹立の動向や域内諸国間のFTA/EPA(以下EPA)締結の動きはここでは繰り返さない。この関連で最大の課題は域内主要国たる日中韓の間におけるEPAの早期締結である。2003年に始まった日韓EPA交渉は中断状態にある。日中間及び韓中間では交渉開始の動きもない。既に3年余り続く日中韓投資協定交渉の先行きも不透明である。
 以上の二国間或いは地域的なEPA網をベースに、東アジア全体の自由貿易地域を含む経済連携の実現が切望される。既に中国、日本、そして韓国提案の各専門家グループによる報告3本が首脳会議に提出ずみだが、具体的交渉開始の合意はない。
 その背景には、ASEAN+3(日中韓)の東アジアFTA締結を求める中国と、これに印、豪、ニュージーランド(NZ)を加えたEPA(ASEAN+6)を追求する日本などとの主導権争いがある。本来、EPAの利点を極大化するには、経済構造の補完的な豪、NZ、印を含む広域的EPAが望ましいことは論をまたない。しかし、農業問題を巡って日豪EPA交渉も進捗しない現実をみれば、まずASEAN+3での交渉を完結し、のちに+6、更にはアジア太平洋EPAに結び付ける手順が賢明と考える。
金融面の協力強化も重要。かつてのアジア通貨危機の経験から、ASEAN+3で危機時に通貨を融通し合うチェンマイ・イニシアチブ(CMI)が2000年に発足、本年3月には総額1200億ドルへの規模の拡大と運用のマルチ化が合意されるなど進展がみられる。日本の主導で始まった、豊富な域内資金の活用を目指すアジア債券市場の育成も重要である。
 米国参加の是非の議論があるが、同国自身がNAFTAの一員であり、気兼ねする必要はない。同時に、米国の政治安保面の重要性、東アジアとの強い経済貿易関係に留意すれば、APECを通じて、或いは海賊、テロ、感染症、環境など機能的分野で米国との協力強化が望ましい。
 東アジア統合推進の運転席にASEANが座るべきとの意見が多い。現にASEAN側には、自らの共同体造りが阻害される、日中韓の間で自らの存在感が埋没する、といった懸念が強い。この地域のEPA網がASEANをハブに進展し、日中韓の間の交渉が捗らない現実に照らせば一理ある。しかし、ASEAN統合の経緯をみても、全会一致主義で実に遅いペースで進む「ASEAN方式」では大きな前進は期待できない。ASEANの懸念に配慮しつつ、後部座席から日本などの強力なプッシュが不可欠。これに先立って日中韓の間のEPA締結が必須である。
 ASEANの信頼が厚い日本はこのための指導力を発揮しうる立場にある。そのためにも、従来の二国間EPAで例外扱いの多い農産物の一層の自由化、看護師、介護士などヒトの受入れを思い切って進める必要がある。更なる構造改革を進めて日本の国際競争力を強化する上でも、質の高いEPA締結が望ましい。(表参照:ベトナム以外は日本よりASEAN側の関税撤廃比率が大きいのは問題)
 このような経済統合の進展は政治安全保障面での信頼醸成と協力促進に寄与し、将来の東アジア共同体構築に資すること疑いない。

 (表) 日本とASEAN諸国とのEPAにおける関税撤廃
日本 95% シンガポール  100%
日本 94% マレーシア    99%
日本 92% フィリピン    97%
日本 92% タイ    97%
日本 93% インドネシア  90%(~96%注)
日本 99.9% ブルネイ   99.9%
日本 95% ベトナム    88%
     (注:日本の自動車企業等向け鉄鋼の特定用途免税を含めた場合)   
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