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地球温暖化問題

  地球温暖化問題
-国際的枠組み交渉の動向-

 地球温暖化の防止を目指す国際的枠組みとしては国連気候変動枠組み条約(92)の下で京都議定書(97)が採択され、先進締約国が温室効果ガス(GHG)の排出削減を義務付けられている。同議定書は2012年末で失効するが、13年以降のあり方を巡る交渉が難航している。京都議定書の延長または新議定書の発効には、国会承認など批准に必要な各国国内手続きを考慮すると、COP15(コペンハーゲン、09年)での合意成立が不可欠であった。しかしながら、COP15は多くの首脳が集まって議論したが失敗に帰し、次のCOP16(カンクン、10年)でも結論が出ず、やっとCOP17(ダーバン、11年12月)で今後の国際的枠組みを構築する道筋につき合意が成立した。しかし、中身の交渉はこれから始まるところで、その結果は予断を許さない。
ダーバン合意の成立
 COP17では次の合意がみられた。
(イ)新興国を含むすべての国に適用される法的枠組み(「議定書、他の法的文書または法的効力を持つ合意成果」)を遅くとも15年までに採択し、20年中に発効・実施する。このため、特別作業部会を立ち上げ、12年前半から作業を開始する。   
(ロ)京都議定書を延長して、第2約束期間(13年初から17年末または20年末)における先進国の排出削減目標をCOP18(ドーハ、12年)で設定する。但し、日本、カナダ、ロシアは延長議定書への不参加を表明し、カナダは議定書から脱退した。第1約束期間(08-12年)が終了する12年末から延長議定書発効までの間、「空白期間」が生ずる。
(ハ)COP16のカンクン合意に基づいて、20年までの間、すべての先進国および49の途上国が緩和(排出削減ないし抑制)措置の誓約を行い、関連情報を12年3月5日までに事務局に提出する。これらの措置には法的拘束力がない。新しい資金メカニズムとして「緑の気候基金」の基本設計案が採択された。
期待されるカンクン合意の精緻化
 この関連で幾つかの点を考察したい。第1に、京都議定書は画期的な国際合意であったが、米国が批准せず、中国など新興国の排出削減義務規定が入らなかった。排出削減義務を負う先進締約国のエネルギー起源CO2排出量は世界全体の僅か26%に過ぎず、その比率は今後も減少し続ける。議定書の延長はその目的達成上意味がなく、日本などがこれを峻拒したことは評価される。企業の国際競争力上も著しく不利で、公平でない。延長議定書からの日本などの離脱により、同議定書に残る締約国のCO2排出比率は10-15%に低下する(フィゲレス条約事務局長)。
 第2に、上記(イ)の法的枠組みの性格が定かでない。温暖化防止の効果を高めるには、全ての国にGHG排出削減ないし抑制義務を課す議定書の採択が望ましい。しかし、過去20年余りの交渉態度からみて米国や新興国がこれに応ずる可能性は小さく、ダーバン合意にいう「他の法的文書」または「法的効力を持つ合意成果」、なかでも後者に落ち着く可能性が強い。この「合意成果」とはいかなる文書か、具体的内容や法的性格は専ら交渉次第といえる。
 第3に、上記(ハ)の先進国、途上国それぞれによる「国内的に適切な緩和行動(NAMA)」に関するカンクン合意は一種の「プレッジ・アンド・レビュー」方式といえる。筆者も枠組み条約交渉当初からこのアプローチを提唱してきた者の一人。エネルギー政策(IEA)、貿易政策(WTO)、経済政策(OECD、IMF)などで長年実行され、法的強制力はないが、「仲間の圧力(peer pressure)」による効果をあげている。先進国と途上国の義務に「差異」を設けることも可能。京都議定書からの後退にみえるが、CO2総排出量の約80%をカバーするという意味で大きな前進である。「測定、報告、検証(MRV)」など制度の改善により、一歩後退、二歩前進になろう。各国のCO2排出削減ないし抑制措置は誓約方式として法的拘束力はないが、MRVなどのプロセスを精緻化することによって、20年から実施の新規枠組みにつなげることが可能ではなかろうか。
(2012.4.15記)
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テーマ : 環境・資源・エネルギー
ジャンル : 政治・経済

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