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TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)への参加促進を

           TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)への参加促進を
               -政府は農業を含む大胆な構造改革を推進せよ-

 管直人内閣は、本年6月に閣議決定した新成長戦略の柱の一つとして、アジア太平洋諸国との経済連携の拡大・深化を謳い、続いて10月の施政方針演説で管首相は、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築をめざす」ことを強調した。私はこの管首相の方針を全面的に支持するものであり、万難を排して「有言実行内閣」の行動に移してもらいたい。
 少子高齢化、人口減少社会を迎えた日本が、その経済活力と国力を維持するためには、今や世界経済の成長センターとなったアジア太平洋を舞台とした生産・流通・消費ネットワークの早急なる構築が不可欠である。日本一国内だけの生産・販売活動では市場規模は縮小の一途をたどり、農業を含めて日本経済の将来がないこと明らかである。(自動車など耐久消費財の国内販売の過去数年にわたる減少傾向がこれを証明している。)まさに待ったなしの状況にある。
 日本の企業は既に円高が進んだ1980年代以降、欧米諸国やASEAN(東南アジア連合)諸国への海外展開を拡大・強化し、21世紀初頭からは中国への進出も拡大してきた。他方、中国の生産拠点・消費市場としての重要性を認識しつつも、中国への一極集中のリスクが如何に高いかは、小泉純一郎政権時代の反日デモ、最近の尖閣諸島問題に端を発したレア・アースの輸出制限始め、中国のWTO(世界貿易機関)ルールをも無視した、なりふり構わぬ様々な言動によって証明され、日本国民にとってよき教訓になっているはずである。日本企業はこのようなリスク回避策の一環として、以前から「中国+1」の海外投資政策を採用してきている。(この点、如何に中国製が安価とはいえ、ハイテク産業に不可欠なレアアースの輸入先を全面的に中国に依存してきた関連日本企業のリスク意識の欠如には呆れる。)
 日本政府としては、以上のような企業ベースの海外展開を一層促進するための制度構築を進める必要がある。既に小泉政権時代から、東アジア共同体構想を念頭に置きつつ、ASEAN諸国とのEPA(経済連携協定)交渉を進め、ASEAN中心の経済連携は一応の形が整った。(日本はASEAN全体との包括的経済連携協定(AJCEP)並びにシンガポール、マレーシア、タイ、ブルネイ、フィリピン、インドネシア及びベトナムとの二国間EPAを締結済み。このほかに日本はメキシコ、チリ、スイスと締結済みで、インドとも合意ずみである。)東アジア共同体構想推進の立場からは、本来、中国、韓国とのEPAの締結、そして東アジア全体の自由貿易地域設立が望まれるが、日韓EPA交渉は過去5年間中断状況にあり、中国とは交渉開始の目途も立っていないし、仮に開始したとしてもその早期完結は楽観できない。従って、東アジア自由貿易地域の設立に向けて関係国、中でも中国と韓国への働き掛けを継続しつつも、最近急速に進みつつあるアジア太平洋地域での自由貿易協定交渉に参加をもとめる、という2正面作戦を追求する必要がある。
 鳩山由紀夫由紀夫前首相は昨年9月の登場早々、東アジア太平洋構想を大々的に打ち上げたが、具体的中身を提示しないままに退場した。管首相はより現実的なアジア太平洋諸国との経済連携の拡大・強化の重要性を強調している。これは将来のアジア共同体構想実現を視野に、小泉政権時代から着々と進めてきた一連のEPA締結交渉を更に一歩前進させるもので、高く評価される。
 そこで注目されるのがTPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)である。これまでに、シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド及びチリといった比較的小規模経済諸国間の自由貿易協定であるが、これら加盟国は従来から最も市場開放の進んだ国々で、世界における国際競争力ランキングでもトップクラスにあり、TPPはまさに模範的な自由貿易協定といえる。これに、米国、オーストラリア、ベトナム、マレーシア及びペルーが参加のための交渉を始めている。日本も米国などが始めている交渉に早急に参加する、というのが管首相の方針であり、前原外相、海江田経済財政相、仙石官房長官、経産省などもそのメリットを強調している。(鳩山グループ所属の大畠経産相は派閥の論理からか、従来の積極論から慎重論に転換したのは不可解である。)
 この種自由貿易協定交渉に当たっての日本の最大の課題は農業の自由化問題である。これまでに締結済みの上記EPAでは、コメを始め多くの農産物が例外扱いになっている。そのために、これらEPAの下での日本側の自由化率が、途上国たる相手国の自由化率より低いケースが大半である。農業はEPAやWTO交渉での日本の長年のアキレス腱となってきた。TPP交渉では、一部例外の獲得は可能かも知れないが、これまでのような大幅な例外扱いは望み得ない。同時に、日本の競争力強化、構造改革推進のためにも農業分野の大幅な例外扱いを求めるべきではないだろう。いつまでも過去の失敗を繰り返すことなく、貿易自由化を農業の構造改革、競争力強化に結び付ける努力を優先させるべきである。
 現在のように、コメに778%(従課税換算)もの輸入関税を掛けて保護する方式では、日本農業の一層の衰退は避けられない。実際、去る9月に発表された農水省の「2010世界農林業センサス」でも、農業就業人口は年々減少傾向にあり、同時に高齢化(平均年齢は65.8歳)傾向に歯止めがかからない。耕地面積の集約化のペースも遅々としており、一農家当たり2.2haでは、フランスの50ha、米国の170haとは競争相手にならない。
 昨年の総選挙前に行われた民主党のマニフェスト発表に際して、当時の小沢一郎幹事長は、戸別所得補償制度の導入により、日米EPAの交渉・締結は問題ないと発言したことは今も私の記憶に鮮明に残っており、非常に勇気づけられた。そして、戸別所得補償制度は導入された。ところが、最近になってこの小沢支持派議員を中心とする110人の民主党国会議員がTPPへの反対を唱え始めたとの報道には驚愕する。中でも不可解なのは、日米FTA交渉推進や戸別所得補償を民主党マニフェストに盛り込んだ鳩山前首相自らがこの議員グループの発起人になっていることである。普天間基地問題その他で軽率かつ無責任発言を繰り返し、海外・国内の信用を完全に失った鳩山前首相は何を考えて行動しているのであろうか。国会議員たるものは、近視眼的な派閥の論理や自己の利益で行動するのではなく、常に中長期的な国家の在り方を念頭に、一貫性ある態度で議論、言動をしてほしい。
 なお、現政権が実施中の戸別所得補償の中身については、真に日本農業の競争力強化につながるのか、単なる「ばらまき」に過ぎないか、など多々議論がある。真に競争力強化に繋がるような所得補償のあり方を再検討する必要がある。私は1993年にまとまったGATT(関税と貿易に関する一般協定。WTOの前身)のUR(ウルグアイ・ラウンド)交渉を担当したが、当時の農業合意の代償、そして国際競争力強化のためとして、政府は6兆円もの予算を付けた。この巨額の予算がどこまで国際競争力強化のために活用されたのか、承知しない。
 当時に比べて日本の経済的地位が大幅に変わった17年後の現在も、同じような議論が繰り返されていることに失望する。93年当時の韓国は、日本以上に農業保護的で、10年で国内消費の4%までの輸入(ミニマム・アクセスという)を認めるUR合意(日本は6年で8%までの輸入量に合意)を受諾するにあたって、大統領がTVの前で涙を流して国民に謝罪し、農業担当大臣を更迭した光景は忘れられない。この隣国、韓国が今や大々的な政策転換を行い、米国やEU(欧州連合)ともFTA(自由貿易協定)交渉を完結し、発効を待つ状況にあるが、日本としても韓国に見習うべき点が多い。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
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